ゴマ鉄丼

ロサンゼルスから1年半ぶりに帰国した33歳男のブログです。趣味は一人旅で、思い入れが強いのはロサンゼルスとアフリカ。初心者ブロガーですが、観光地ではないディープでブラックなロサンゼルスや、これまでの旅の思い出を振り返ったりしていきます。みなさんの旅のヒントになれば本望です。

【東アフリカ・イントロ】「陸・空・海」! 移動手段を駆使して東アフリカ3カ国+1を周遊する

2009年に南部アフリカ、10年に西アフリカを旅した僕が翌年向かったのは東アフリカでした。

 

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主な目的は以下の通りです:

 

独裁国家(といわれる)ジンバブエで、ハイパーインフレ時代に発行された100兆ジンバブエドル札を見てみたい

タンザニアザンビアの2泊3日夜行列車に乗ってみたい

タンザニアザンジバルでリゾート気分を味わいたい

 

もちろんこれまでの南部&西アフリカで訊いてきた「隣国との関係」「日本に期待すること」「中国人の印象」などもチャンスがあればローカルに訊いてみたいと思います。

 

夏季休暇を利用して行くので計14日間の旅。

出発は2011年5月の下旬でした。

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で、事前に決めた旅程はだいたいこんな感じです↓

 

成田空港→関西空港→ドーハ(カタール)→ダル・エス・サラーム(タンザニア)→

ルサカザンビア)→ハラレ(ジンバブエ)→ダル・エス・サラーム→ザンジバルタンザニア)→ダル・エス・サラーム→ドーハ→関西空港→成田空港

 

本当はケニア、ウガンダ、エチオピアへも行ってみたかったのですが、優先順位を決めた結果、断念しました。

 

これまでのアフリカでの旅と異なる点は、飛行機、鉄道、そして船に乗ること。

今回もなかなかタイトな旅程なので、交通手段が遅れないことを祈るばかりです。

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さて、一般的に東アフリカと呼ばれる地域には、ケニア、タンザニア、エチオピア、ウガンダといった、日本人にも聞き覚えのある国々があります。

 

実際、地理的にもアジアを向いており、これらの国々へは香港やタイ、インドといった国や地域から直行便が飛んでいて、経済面での結びつきから人の交流までアジア各国との関係は強固のようです。

また、ケニアやタンザニアにはインド系の人たちも多く暮らしています。

 

東アフリカの多くの国で英語が話されていますし、「アフリカらしい」動物にも出会いやすいといわれています。意外かもしれませんが、タンザニアザンジバル島はアフリカ有数のリゾート地です。

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今回も旅の友はLonely Planetスマートフォン無しのアナログな旅がはじまります。

【西アフリカ⑲】早足で駆け抜けた旅を終え 帰路につく(ラゴス→)

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最終日は珍しく目覚まし時計の音で起床。

 

9時頃からホテルのビュッフェで朝食をとりました。

食後に昨日のピーターを見つけ挨拶。タクシーとして空港までの送迎をお願いしました。

 

10時過ぎ、要らない服を部屋に置いてチェックアウト。ピーターの友人を乗せていざ空港へ。BGMはもちろんフェラ・クティで、今日も彼はノリノリ。そしてエンストも相変わらずでした。彼に「デンゼル・ワシントンに似ているよ」と告げると「だろ?」という返事が返ってきました。

 

道中、フェラの曲の歌詞をよく聴くように言われましたが、アメリカン・イングリッシュに慣れた僕の耳では4割くらいしか解りませんでした。

 

今日もラゴスはカオス状態。ジュースなど小売りの子どもたちも暑さにめげずにがんばっていました。

11時過ぎに空港着。ピーターにお礼を言うとフェラのCDをくれました。で、握手をして別れました。

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ラゴス空港、なかなか立派です。黒人以外では中国人、インド人、レバノン人が多かったです。

 

エミレーツ航空のチェックインカウンターに並ぶもノロノロ遅くて時間だけが過ぎていきます。おまけにいい席が取れませんでした。

 

イミグレーションではなんと賄賂を要求されました。とぼけていると「You don't understand English?」。さらに「What do you have for our weekend?」と来たもんだ。

本当にこの国の役人はどうなっているんでしょう。しかも念のため出国スタンプを探しても見つかりません。戻って「どこだ」と言うと一応押されていました。「あ、ごめんごめん」と僕。でもサインがされていません。もう知らない。

 

セキュリティチェックでもしっかり袖の下を要求されましたが、「NO」と強気に振り払いました。しまいには免税店のおじさんもしつこくて、最後の最後まで疲れてしまいました。まあそれでも30~40年前の東南アジアもこんな感じだったと言いますし、いい体験になりました。

 

余ったN3000の使い道を考え、空港内の土産屋でサッカーナイジェリア代表のマフラーを自分用に買いました。こんなところでもふっかけてくるのがナイジェリア。

 

その後、ドバイ関空を経由して羽田空港に戻りました。

 

西アフリカは訪れる日本人がとくに少なく、また20代という動けるときに行けてよかったと思います。40、50代になってから一人で同じ旅をするのは厳しいと思いました。あれから7年経ちますが、今でもガーナ、トーゴベナン、ナイジェリアには愛着があります。現在、この地域は当時以上に経済面でも注目を集めていますし、今後どのように日本とつながっていくのか楽しみです。

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次回からは翌年旅した東アフリカをご紹介します。

 

【地図】※ラゴスの空港です

 

【西アフリカ⑱】楽しみにしてたShrineに行けずも 市内観光を堪能する(ラゴス)

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Mama Cassの店内で注文したのはフーフーと汁&魚のフライ。ピーターの分も一緒に払いました。

正直特別おいしくはなかったですが、友人に薦めてもらったお店だし来られて満足です。

 

ランチを終えた僕らはIkoyi Islandに入りました。この時間は渋滞で鈍行。

相変わらずのピーターの危なっかしい運転に肝を冷やしました。

 

ところでポリスチェックはそこここで見かけますが僕らはスルー。

 

渋滞を抜け、Lagos Islandへ入ったところでテンションマックスのピーターが爆音で音楽を流し始めました。

そのまま3rd Mainland Bridgeなる道を快適にとばして車は市外へ。

 

汚い&貧しい家が増えてきました。ところどころにあるマーケットはボロく、汚いですがカラフルで活気がありました。

僕が窓の外を見ていると、ピーターが「This is Lagos!」と一言。

 

ラゴスには亡くなったフェラ・クティの息子、フェミが毎晩のようにアフロビートを演奏するNew Shrineなる場所があります。

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僕はここへどうしても行きたくてラゴスに来る前は楽しみにしていたのですが、国境を越えてナイジェリアに入ったときの衝撃ですっかり気力が失せていました。

それでもせめて外観だけでも…と思い、ピーターにその話をすると「さっき行けばよかった!忘れていたよ」と返答。

おーい頼むよピーター。「行けないかな?」と聞けば「今からじゃ渋滞で無理だよ」とのこと。あーあ。

 

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続いて到着したのはNational Theatre。いきなり得意のトイレへ駆け込むピーター。僕ももよおしてきたので彼の後を追いました。

トイレから出てくると、門番というかだるそうに座っている警備員とピーターが何やらもめていました。

英語でしゃべっているようで、近くに寄って耳を傾けるもイマイチよく分かりません。

 

ナイジェリア人同士の英語は50%くらいしか分かりません。

ピーターはcomeを「コム」と言っていました。

 

そういえばここにいる警官がAK-47を持っていて本当に怖かったです。

 

約束の時間が近づいてきたのでホテルへ戻ることに。

腹を下しているピーターに日本から持ってきた薬をあげました。

 

5000円出してラゴスの街を現地人の案内でまわれたことは大正解でした。

昨日までの悪いイメージが幾分和らぎましたし、何よりピーターがよかったです。

国境の役人とドライバーのせいで印象が悪かったナイジェリア人も、このピーター&ラゴスの街で必死に働くナイジェリア人たちを見ていたら、僕の考えも少し変わりました。

 

最後の街がラゴスでよかったと思いました。

あと1日ありますが、無事にガーナからナイジェリアまで来られたこと/食中毒にならなかったこと/蚊にさされなかったこと、西アフリカ旅行のほとんどが順調でした。

 

ケープコースト城見学/ガーナ人とサッカー観戦/スティーブさんとの再会/ゾマホンさんの本を渡せたこと/ラゴスを見られたこと/危険な目に遭わなかったこと/聞きたいことをいろんな人に聞けたこと/待ち時間がどこも短かったことetc。

 

「チャイナ」「ニーハオ」「シノア」攻撃はどの国でも食らいましたが、これが無ければ本当によい旅だったと思います。

 

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⑲へつづく。

 

【地図】※New Afrika Shrineです

 

【西アフリカ⑰】楽しい西アフリカ最大都市ドライブも 事故で状況一変?(ラゴス)

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Lagos Islandを通過した車はVIことVictoria Islandを通ります。

今日の市内観光は基本的にピーターにおまかせです。

しばらく走ると、高級感のある場所でバードなんとかというデパートに車を停めました。

 

入口にはゴツい男と銃を持った男がエヘンと立っています。セキュリティがしっかりしているよう。デパート内の電気屋の店主はインド系の人でした。

本屋兼CDショップのような店で良さそうなものを物色しました。

でも何も買わず。

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今日はとても良い天気ですがなにしろ暑い。

ところでナイジェリアに入国してから、これまで浴びてきた奇異の視線を感じなくなりました。隣国や街が変わるだけでこの視線が無くなったりするのがオモシロイ。

 

ピーターの運転で車はBar Beachという通り沿いを走り、有名なEko Hotelへ。「駐車は10分間無料だ」とピーターが言うので「じゃあ10分だけ」とホテルを見学しました。

 

このピーター、言動がいちいちなんだかおかしくて僕のツボでした。

でも彼のおかげで、昨日までの「ナイジェリア人は誰もが悪だ!」という僕の偏見がどんどん薄れていくのでした。

 

ピーターの車はマニュアル車でしたが、とにかくエンストをよく起こしました。そしてこの渋滞が酷いラゴスでのマニュアル車運転は泣きっ面に蜂。ブツブツ文句を言う彼の姿は、今思い出してもフフッとなってしまいます。

 

それにしてもやはりラゴスはとても歩いて歩ける街では無さそうです。このように現地の人と一緒にいるので安心できるのだと思いました。

 

お腹が空いてきたのでランチタイム。在日ナイジェリア大使館に勤める友人のオススメ、Mama Cassなるファストフード店で食事をすることになりました。

 

で、お店を見つけてウインカーを出し、ピーターが車を路肩に乗り上げて駐車しようとした瞬間…

「ガシャンッ!」

という音。そして次の瞬間横になったバイクと道に転がる少年。

「うわ、事故だ」

転倒した少年を心配するどころか、ピーターは放送禁止用語を連呼してフリークアウト!

 

まさか自分の乗っているタクシーが事故を起こすとは。。

ピーターはブツクサ言いながらとりあえず駐車をし、僕とともに転倒中の少年の元へ。

あらー。ピーターの車にもキズがついています。

 

少年を労わってからガッツリ叱り、駐車係の人にも文句を言うピーター。そして警察を呼ぶわけでもなく店内へ。「あれ?それだけ?」と思いましたが、まあそんなものなのでしょう。

 

店内に入るやいなやトイレへ駆け込んだピーター。

戻ってきたので「調子はどう?」と僕。車のことを聞いたつもりが「昨夜から腹を下しているんだ」という返答。思わず笑いそうになりましたが、ふむふむと聞いておきました。

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⑱へつづきます。

 

【地図】

 

【西アフリカ⑯】タクシー運転手と半日契約 いざ市内へ(ラゴス)

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快適なホテルに泊まったこともあり、気分は爽快。

温かいシャワーをたっぷりと浴び、1階のロビー横のレストランでビュッフェを優雅に食べました。

イングリッシュスタイルという表示でしたが、ナイジェリア料理もちょこちょこあり満足。

 

食後、昨日のレンタカー(運転手付きタクシー)のところに人がいたので話しかけてみました。

どうやら1日N15000、半日だとN8000のようです。そこまで高くないし、「せっかくだから」という考えになりお願いすることにしました。

 

どうやら僕が話しているこの人ピーター(32)が運転してくれるようです。

「…(高級ホテルに場所を借りて運営しているような会社の人なので信用できるだろう)」と僕。ちなみにガソリン代は別料金のよう。ありゃ、ということは昨日の怒れるタクシードライバーも当然のガソリン代要求だったのかな。

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出発前、駐車場で一応ピーターと車をパシャリ。

10時出発、半日なので16時までの契約です。

 

車内でフェラ・クティのCDを見つけたので色々聞いていたらCDをかけてくれました。

うーん。本場ラゴスで聴くフェラ・クティは最高!

と思っていたらいきなりMobilでガソリン代を入れるというのでN2000払いました。

 

さて、車はいよいよラゴス市内へ。やはり道路にレーンは無く、自己中でモラルに欠けた人たちばかり。こういう人たちが「Go-Slow」を招いているのだ、と勝手に解釈。

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車はMile2 Motor Parkを通過し、Lagos-Badagry Expressを走ります。

黄色い車、つまりバスが非常に多かったです。そしてこのバスが本当にボロい。

 

下道を通って、車はLagos Islandへ入ります。

車外では物売りの子どもや大人たちが色々なものを売っています。よく見ていると、新聞、クッキー、サングラス、地図、ワイングラス、水etc。

ワイングラスなど走行中に買う人なのでいるのでしょうか。

でも腐敗した警官たちがニヤニヤしながらドライバーや旅行者から金を巻き上げるよりもよほど健全です。

 

初めて来たラゴスの印象は「普通」。道路は比較的キレイですし、ヨハネスブルグのよう。

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⑰へつづく。

 

【地図】

 

【西アフリカ⑮】4つ星ホテルにチェックイン 旅の疲れを取る(ラゴス)

冷たい身体と疲れ切った表情でホテルに入る僕。大きなバックパックを背負った姿は、この4つ星ホテルには似合いませんでしたが、フロントの男性の「ウェルカム」という声に心底ホッとしたのでした。

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すぐに1日延泊したい旨を伝えると「喜んで」と言ってくれました。

名前をすぐに覚えてくれたし、とてもスムーズなチェックイン。荷物をポーターに運んでもらい、236号室へ。

 

素晴らしい部屋が充てられ、施設の説明を受けた後チップを渡しました。

寒かったのと疲れを取るためにすぐにシャワーを浴びましたが、本当に気持ちがよかったです。

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サッパリしてからロビーへ降りてインターネット。両親にメールを送り、明日の天気をチェックしました。明日も同じように雨模様のよう。

少しホテル内を歩いて両替をお願いしたところ、USD100がN1500になりました。

闇レートよりもいくらか良いレートでした。

 

軍資金を握りしめたままホテル内のビュッフェへ。

この旅初の豪華な食事を堪能しました。サラダをたっぷり食べ、デザートも食べました。

隣のテーブルから聞こえてくるのはナイジェリアンイングリッシュ。やはり英語圏の国にいるほうがホッとします。

チップを含めN5000も払いましたが大満足。

 

そのままホテルの敷地内を歩いてみました。晴れていたらプールサイドで読書でもしたかったのですが、そんな天気でもありません。

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正直明日タクシードライバーを捕まえてラゴス市内へ行く自信がありませんでした。

いろんな国へ行き、百戦錬磨と思っていた僕ですが、この国のファーストインプレッションはそれほど衝撃的だったのです。

役人まで信用できない国…そしてラゴスはきっとヨハネスブルグよりも怖い街なのではないでしょうか。南アフリカでは警官は仕事をしていました。

 

部屋に戻りゴロゴロしていたら少し寝てしまいました。

今夜はW杯準決勝ドイツvsスペインがあり、エレベーターで会った宿泊客に「サッカー見ていますか?」と話しかければどこででも話が弾むのでした。

 

なお、このホテルではドライバー付きのレンタカー(実際はタクシー)をオーガナイズしているようなのえ、空港への運賃を含めて聞いてみました。しかし担当者がいないので分からないという返答。

再びインターネットをし、在日ナイジェリア大使館員の友人と、トーゴでお世話になったスティーブさんにお礼のメールをしました。

 

ホテルに中にいてもつまらないので、外へ出ようと歩き始めましたが、まだ恐怖感が拭えず少しして戻ってきました。

 

部屋に戻りずぶ濡れになったポロシャツやそれを拭いたタオル、靴下などをせっせと洗濯。風呂に湯を張り、今回の旅の疲れを取りました。

 

すっかり生き返ることができました。

明日に備えてこの日はゆっくり寝ることにしました。

 

⑯へつづく。

 

【地図】

 

【西アフリカ⑭】ピリピリした車内 ナイジェリアの洗礼を浴びる(→ラゴス)

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雨に打たれたのと国境での緊張から疲弊している僕に、更なるストレスが襲い掛かります。

 

ナイジェリア入国からそばにい(てくれ)る男はタクシードライバーでした。

僕が前日に予約したホテル・Golden Tulip Festec Lagosまでの料金を聞けばN6000と言います。「4000円か…」と僕が驚いているとなぜか怒り始めました。

 

ウザいけどここは冷静になり、USDの両替をしたいというと「Change!」と偉そうです。

僕のUSD100がわずかN12000になりました。USD80くらいでしょうか。場所が場所なだけに非常に悪いレートです。

さらにベナン側からいたオカダマンがN2500も要求してきました。

…ふざけているが仕方がないです。

 

しかしこのドライバーはとても怒りっぽいのです。

なんとか出発するも、いきなり噂のチェックポイント。このカラシニコフのような銃を装備したナイジェリア警察による「チェック」を受け、N500取られました。

僕がふくれていると、「俺が受け取るんじゃない。オフィサーだ!」ときました。

とことん気に食わない男です。

 

少し進んだところで再びのチェックポイント。しかし今度はセーフ。一度車を停めてドライバーがトランクを開けていました。

僕は外国人であり目立つのでマズいかと思っていましたが、結局この後チェックされることはありませんでした。

「停められるのは小さい車だけだ。ベナンからの密輸品を調べるのさ」とドライバー。

「見つからったら逮捕?」と僕。

「賄賂をたっぷり持たせるのさ」

 

「で、この道はやばい。俺は夜に絶対に走らない」

「…ポリスを無視したらどうなるの?」

「アレ(カラシニコフ)で撃ってくるのさ」

 

なんなんだこの国は。窓の外に見えるナイジェリア人一人ひとりが怖い人に見えてしまいました。このドライバーもポリスのチェックポイントに辟易しているようでしたが。

 

しばらくすると町に入りました。ナイジェリアに人が多いのは本当のよう。マーケットの店はぼろいけど、人が多くて活気があります。

僕はサッカーや出身地の話でなんとか雰囲気を和ませようと努めました。

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いよいよラゴスに入ります。「シートベルトをしろ」と言うので従います。

後で分かったことですが、黄色いポンチョを着ている人たちがチェックをしているよう。「彼らかい?」と指を差したら「指を差すな!」と怒られました。

 

「ガソリンを入れる」と言うので「値段は安いのか」と訊こうとしたら「N3000よこせ」ときました。

この男は本当になんなんだ。「無理だよ。頼むよ」と言うとN2000になりました。

それでもムカついてバシッと渡すと「何だその渡し方は」と逆ギレされました。

 

ああもう本当に嫌だ。今日泊まるホテルは1泊の予定でしたが、連泊しようと決意しました。この時、僕はなぜか「命あっての物種だよな」と思っていました。

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さっきまで降り続いた雨のせいで道路には大きな水たまりが。凸凹もあり、車は急にハンドルをきるので危ないのです。

クラクションがけたたましく鳴りひびき、レーンは無くそしてみんな自己中に運転。

前のドライバーが窓から手を出して「入れてくれ」とサインを出しても車を詰める輩たち。このへんは日本人も変わらないかもしれませんが…

 

でも渋滞は前の車のせいではないのにクラクションを鳴らしてどうするんでしょう。

 

窓の外には道路の脇を歩く男。山羊の両足を肩に担いでいます。山羊はぐったりとしていました。その男は前を歩く山羊の尻を蹴飛ばしていました。

「こんなところに置いていかれたら本当に身ぐるみはがされそうだ」と思いました。

 

ラゴスの「Go-Slow」にハマり時計はすでに正午。それでもどうにかホテルの駐車場に到着しました。もっと金を要求されると思いましたが、事前にポケットに用意しておいたN6000(N500×12枚)をあえて丸めて渡しました。

男が数えているうちに後部座席のバックパックをサッと取り出しました。

 

僕は降りる前に後ろの席のドアをガチャリと開けていました。

これはプラン通り。僕が外に出た瞬間に車を出される可能性もこの男なら十分に考えられたのです。

お礼は言わず、僕は冷たいアイコンタクトを取ってそそくさとホテルに入っていきました。

ああ、早くお風呂に入りたい。

 

⑮へつづく。

 

【地図】